つな八 天丼 JRタカシマヤ名古屋店内
つな八のカウンタ-にすわりビ-ルを一口飲んで
突然、
半村良の「雨やどり」を思い出し、ついでに
四谷三丁目の<天春>の
<かき揚丼>を想った。
雨やどり は半村の
昭和49年度(1974)?の直木賞受賞作品です。
<四谷三丁目から曙橋辺りで、突然の雨に雨やどりさせてくれたホステスと
深い仲になり、結婚まで約束しながら、女は出所したヒモの元へ帰っていく
次第を綴った短編です。>
在京8年の内、戸塚3丁目、河田町、代々木上原3丁目に住んでいた私には
この主人公の歩く曙橋から四谷3丁目の情景は馴染みのものでした。
そこの都会に住む一人の男と訳アリの女の雨のようにに濡れた情のやり取りと
雨がやむと乾いていく天気のように、ヒモが出所すると雨やどりの中、男に
かけた情を乾かしていく女の有様は、何故か何時までも私の記憶のなかで
反芻され定着してしまいました。
曙橋から軽い上り坂の道を荒木町、舟町と5~600m歩くと四谷三丁目の
交差点に出る。右手の消防署を新宿方向に曲がるとすぐ
<天春>がある。
私は何時も<かき揚丼>を注文した。学生時代ですのでアルバイト料で
財布が暖かい時しか寄ることはない。ビ-ルを注文する事はなかった。
アルコ-ル飲料自体が相対的に高い時代でしたので。
かき揚丼は本物の芝海老、小柱、スミイカが入り胡麻油で濃厚に揚げた味は
若者の胃袋と脳を暫し悦楽の境地に導いてくれました。
太白胡麻油が普及する前の時代でした。
私のかき揚丼の基準は何時の間にかこの
<天春>になりました。
新宿三越裏の<つな八>でもかき揚丼は食べていますが、姿の記憶がありません。
<つな八>では何時も天婦羅定食でした。
この日は大ぶりの天丼を注文して、穴子、キス、海老を堪能しました。
何年か前上京の折、訪ねると道路の反対側に移転していました。
<つな八>の見事な天丼を前にして、
江戸前<かき揚天丼>初体験の思い出話ばかりで
申し訳ない。
今度は<新宿つな八本店>の昭和35~43年の
浦安・幕張辺りの江戸前の魚を目の前で捌きながら 揚げてくれる様を記してみたい。
天ぷら新宿つな八 名古屋店 (天ぷら / 名古屋駅、近鉄名古屋駅、名鉄名古屋駅)